コンサートプログラム

まもなく配信予定の後藤未穂ソプラノコンサートのプログラムをお知らせします

後藤未穂ソプラノコンサート
~おうちで楽しむ、とっておきの演奏会~
ピアニスト 林みゆき

<プログラム>

・Ave Maria/バッハ=グノー
・オペラ「リナルド」より
 私を泣かせてください/ヘンデル
・この道/山田耕筰
・ 浜辺の歌/成田為三
・ 献呈/シューマン
・ 「冬の旅」より 氷結/シューベルト
・ Ave Maria/シューベルト


アクセスが集中するとつながりにくくなるかもしれませんが、このコンサートは当面の間配信いたしますので、空いた時間にいつでも、何回でもお楽しみいただけます。

また、このコンサートは全曲通してお聴きいただくことを前提に選曲しておりますが、その日の気分でお気に入りの曲だけ聴くなど、楽しみ方は自由です。むしろそれこそがオンライン配信のメリットです。

みなさん、自分のとっておきの楽しみ方を探してくださいね。

Ave Maria/シューベルト

シューベルトのAve Mariaについて解説します

シューベルトのAve Mariaは1825年、シューベルトが亡くなる3年前に作曲されました。スコットランドの詩人で小説家のウォルター・スコットによる叙事詩「湖上の美人」に曲がつけられました。Ave Mariaは6曲目にあたります。

今回お送りする曲は、スコットが書いた英語の詩をドイツ語に翻訳した原曲そのままの歌詞でお送りします。歌い出しが“Ave Maria~”なので、ラテン語の祈祷文をあてはめられることも多いのですが、本来の歌詞ではありません。

歌詞の内容も、反逆者として国王に捕らわれている伯爵の娘・エレンが、父親のことを心配して聖母マリアに祈りをささげているという場面を描いています。

後ほとアップするプログラムをご覧になるとわかるのですが、今回はAve Mariaで始まり、Ave Mariaで終わっています。

今年こそは、マスクをつけないでお互いの顔をみて、笑い合う日が早く戻ってほしいという祈りを込めて、あえてこのような構成にしました。

音楽を聴けるような状況にない人もたくさんいらっしゃると思いますし、私個人ができることは本当にごくわずかですが、少しでもみなさまのお役に立てればと思い、コンサート配信を企画しました。

画面越しではなく、直接お会いできる日が早く来ることを祈って、私も勉強を続けてまいります。どうぞお体を大切にお過ごしください。

浜辺の歌/成田為三

「浜辺の歌」は、「この道」と同じく、2007年に『日本の歌100選』に選ばれており、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

歌人で作詞家の林古渓によって書かれた詩に、成田為三が曲をつけました。作曲された年ははっきりとはわかっていませんが、1918年に楽譜が出版されています。

1・2番は朝や夕方に浜辺をあてもなく歩いていると、昔の出来事や過去に出会った人のことが思い出される。海の様子や空に浮かんでいる月は今も変わらないけども…といった情景が描かれています。

3番の歌詞はそれまでとは違った展開を見せ、自分の病気は治ったけれども、愛しい我が子は今どうしているのだろう…と、何らかの事情で会えない自分の子どもへの思いを口にして曲は終わります。

1・2番しか演奏されないことも多いですが、この曲のメッセージは3番にこそ集約されている気がします。

歌詞が文語体で書かれているので多少とっつきにくく、言葉が少ないため読み取れる情報も少ないですが、親しみやすい曲調が大切な人を思い出させてくれる曲です。

この年末年始はコロナウイルスのために家族や大切な人になかなか会えないという人も多いと思いますが、そんな人に思いを馳せながらお聴きいただければと思います。

氷結/シューベルト

シューベルト作曲の歌曲集『冬の旅』より、“氷結”をご紹介します

この曲は、昨年開催した「後藤未穂×Kalmia ティータイムコンサート」でも演奏した曲ですので、記憶に残っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

歌曲集『冬の旅』は、シューベルトによって1827年に作曲されました。詩はドイツの詩人、ヴィルヘルム・ミュラーによって書かれており、全24曲からなる連作歌曲集です。

この歌曲集は、結婚まで考えていた恋人に失恋した若者が、二人の思い出が残っている町を捨て、さすらいの旅を続けていくという内容です。

旅を続けていくうちに、若者は失恋の痛みや苦しみを経て、社会からの疎外感、厭世観を感じるようになり、死を求めるようになっていきます。

“氷結”は『冬の旅』の4曲目にあたります。ドイツ語のタイトルではErstarrungとなっており、辞書で引くと凍結・凝固・硬直など、いくつかの単語が出てくるので、他の楽譜などでは違った表記になっているかもしれません。

実は歌詞の中にこのタイトルの言葉が出てくるわけではないので、Erstarrungというタイトルは何を象徴しているのか、演奏家はイメージしておく必要があると思います。

私はこの曲を聴いた時、フリーズドライされていたはずの恋人への未練が、ふとしたきっかけでせきを切ったようにあふれ出している、という印象を受けました。

自分の涙で氷や雪を溶かすほど地面に口づけしたい、せめて2人の思い出だけでも持っていきたい、など、若者の熱い思いが爆発しており、この歌曲集の中で最も激しい曲ではないかと思います。

この曲は歌詞の繰り返しが非常に多く、ピアノパートも3連符のリズムが途切れることなく続いています。恋人への未練をなかなか断ち切れない若者の苦悩をあらわしているようです。

同じ悲しみの表現でも、ヘンデルの“私を泣かせてください”が女性的な表現であるのに対し、“氷結”は非常に男性的な表現です。それぞれの違いもお楽しみいただければ幸いです。