本日の演奏曲の簡単な解説です

先日ご案内した「第46回くにたちコンサート」は無事終了いたしました。お忙しい中足をお運びいただいた方には心より御礼申し上げます。

演奏前のMCで語り切れなかった曲の内容や作曲家につきまして簡単にご紹介しますので、ぜひお読みください。

Ave Maria/アストル・ピアソラ(1921-1992)

「Ave Maria」はピアソラが63歳のときの作品です。ピアソラといえば、「リベルタンゴ」などリズミカルで情熱的な作品のイメージが強いのではないでしょうか。

実はピアソラはタンゴだけでなくクラシックやジャズなどさまざまなジャンルの音楽を融合させて自分の作品にすることが得意な作曲家でもありました。

第46回くにたちコンサートで演奏された「オブリヴィオン(忘却)」のように、果てしない広がりを感じさせる和音の響きは彼にしか創り出せない世界といえます。

Ave Mariaはピアソラが音楽を手掛けた映画「エンリコ4世」の「Tanti Anni Prima(昔々)」という曲にイタリア語の歌詞がつけられたものです。

実はオブリヴィオンも同じ映画内で使用された曲になります。どのようなシーンで流れたのかまではわかりませんが、両方とも演奏すればするほど奥深さを感じる曲です。

歌詞の意味はラテン語のAve Mariaと同じです。「おめでとう、マリア」という受胎告知のシーンから始まります。

今も死を迎えるときも罪深い私たちのために祈ってください、という敬虔な祈りの思いが込められた内容になっています。

中盤の高音部は非常に盛り上がりやすいですが、その盛り上がりをさらに引き立たせるには序盤と後半の中音域をいかに響かせるかがポイントです。

高音が続いた後にスタミナ切れせず、マリア様へ祈る思いやピアソラが常に感じていた音楽へのパッションを追体験する気持ちを忘れず歌い切りたい1曲です。

ラ・クンパルシータ/ヘラルド・エルナン・マトス・ロドリゲス

ウルグアイの作曲家・ロドリゲスが作曲した「ラ・クンパルシータ」はタンゴを代表する曲です。

曲名を聴いてどピンとこなかった方も、いざ曲が始まると「この曲聞いたことある!」と思われたのではないでしょうか。

ラ・クンパルシータはロドリゲスが17歳のときに作曲されたといわれています。クンパルシータとはスペイン語で「小さなカーニバルの行列」という意味です。

ただし、曲のタイトルとは裏腹に歌詞の内容は一昔前に放送されていた「昼ドラ」のイメージそのもの。

妻がいながら若く魅力的な女性のもとに走ってしまった夫。

結局その若い女性にもフラれてしまい、妻のところに戻ったはいいけど心も体もボロボロになってしまうところで歌詞は終わっています。

タンゴの情熱的なイメージが強い曲ではありますが、歌とピアノというクラシック音楽の雰囲気にマッチするよう、今回は歌詞の内容を活かして少し違った印象に仕上げています。

ちなみにこの曲はピアソラがバンドネオン奏者として活躍する頃には既にタンゴの代表曲としての地位を確立していました。

ピアソラ自身も何回かこの曲をレコーディングしているのです。

しかし、ピアソラ自身はラ・クンパルシータがあまり好きではなかったどころかむしろ大嫌いでした。

レコーディング音源ではピアソラオリジナルのアレンジがふんだんに加えられており、原曲の要素がほとんど残っていないバージョンもあります。

南米の作曲家の作品という理由だけでなく、ピアソラとも非常に関わりの深い1曲です。

翼/武満徹

武満徹の「翼」は1982年、今から40年前に作曲されました。「ウイングス(Wings)」という劇の中で、女優の市原悦子さんが歌われたそうです!

劇の主人公は元アクロバット飛行士とのことなので、曲名の「翼」は飛行機の翼をイメージしていると思われます。

武満徹は映画音楽をはじめとして演劇・テレビなどさまざまなメディアの音楽を手掛けており、世界的にも名高い作曲家です。

彼の死後完成した東京オペラシティのコンサートホール「タケミツ・メモリアル」にその名前が冠されていることからもその名声の高さがうかがえます。

前衛的な音楽が得意ジャンルではありますが、親しみやすい作品も数多く残しています。今回お送りした翼もその1つです。

歌のメロディーからもジャズの雰囲気が漂っていますが、ピアノパートの不協和音の絶妙なバランスは筆舌に尽くしがたいものがあります。

複雑に音が重なり合うさまは、一つとして同じ景色は無い空の様子を表しているかのようです。

そんな神秘的な和音の中に、武満徹自身が作曲した素敵な歌詞が見事にマッチしています。

和音に身を任せつつ、歌詞の意味をしっかり噛みしめて演奏したい曲です。

3年ぶりに歌います!

くにたちコンサート

お知らせが遅くなりましたが、今月コンサートに出演することとなりました。
コンサートの詳細ページはこちら

第46回くにたちコンサート~未来から届く希望の音色~

  • 日時:2022年6月25日(土)14時開演(13:30開場)
  • 会場:サラマンカホール
  • 入場料:一般前売1,500円(当日2,000円)
        学生1,000円(高校生以下・前売・当日共)

くにたちコンサートは岐阜県在住・出身の国立音楽大学卒業生によるクラシックコンサートです。

主催となる国立音楽大学岐阜県同調会は私が会長を務める国立音楽大学の同窓会組織です。

今回はおなじみのアラカルトの他、「ピアソラ没後30年に寄せて」と題しましてピアソラやピアソラに関連する作曲家の作品も演奏いたします。

私はピアソラをはじめとする南米の作品に初挑戦いたします!

近現代の作品も例年より多く、クラシック初心者の方から専門的に音楽を学ばれている方までご満足いただけるプログラムとなっております。

今回は声楽やピアノのソロ演奏はもちろんのこと、2台ピアノやトランペットとヴァイオリンのデュオなどバリエーション豊かな編成が揃いました。

新人からベテランまで、演奏楽器もそれぞれ違うメンバーのパフォーマンスをどうぞお楽しみください。

チケットのお取り扱いは下記で承っております。

サラマンカホール 058-277-1110
マーサ21インフォメーション 058-295-2310
イープラス

今回はイープラスでもチケットを取り扱っておりますので、24時間いつでもチケットをお買い求めいただけます。
チケットの枚数には限りがございますので、お早めにお申し込みください。

皆様のお越しをお待ち申し上げております。