L’ultima canzone/F.P.Tosti
YouTubeで2月28日に配信したトスティ作曲「最後の歌」の曲目解説です。
演奏の際、どこを変えたかお気づきになった方はいらっしゃいますか?
記事内で詳しく解説していますので、どうぞご覧ください。
曲目解説
最後の歌は、1850年に作曲されました。詩はイタリアの詩人、フランチェスコ・チンミーノによって書かれています。仲の良かった女友達のために作曲されたそうです。
明日別の男と結婚してしまう昔の恋人に対する、一途な想いが表現されている歌です。
短調の部分では、現在の恋人に自分の気持ちを情熱的に訴えています。長調の部分では恋人をさまざまな花にたとえて、つきあっていた頃のように呼びかけています。
この歌詞の主人公は、昔の恋人への想いが断ち切れず未練たっぷりなのですが、最後が長調で明るく終わるあたりがイタリアらしいな、と思う部分です。
同じような内容の歌詞のドイツリートであれば、きっと短調で終わるのではないでしょうか。例えば、シューベルト作曲の『冬の旅』の1曲目、“おやすみ”などは最後の部分で長調に転調するのですが、ラストのフレーズでまた短調に戻ります。
最後の歌は、長調で終わるといっても明るく笑い飛ばすといった雰囲気ではなく、静かに消えるようなラストを迎えます。このラストはさまざまな解釈ができる部分です。
私がこの曲を初めて歌ったのは高校生でした。その時はどんなに望みが薄くてもずっと君を想い続ける、という決意の表れをイメージしていたと思います。
しかし、今あらためて歌ってみると、恋人の幸せを願っているのではないかな、という気がしました。
時間が経つと曲に対して自分が持つイメージも変わってきます。再度勉強し直してみると、新しい発見があるのでおすすめです!
曲中に出てくる花
この曲では長調の部分で恋人をさまざまな花にたとえています。女性を花で表現することはよくありますが、4種類もの花が出てくることはなかなかありません。
花と花言葉を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
前半は、恋人と永遠の愛を誓った昔の思い出を象徴するような花が登場します。

バラ
花言葉 愛・美しさ(全般)
赤いバラは愛情・情熱
などの花言葉をもっています。
花の色によって違うので、
気になる人は調べてみてください。

ハゲイトウ(アマランサス)
花言葉 不老不死・情愛
ハゲイトウという名前ですが、ケイトウ(鶏頭)のなかまではなくヒユ属に分類されます。
夏から秋にかけて、鮮やかな色彩の葉を楽しむ植物です。
後半に出てくる花は、両方ともギリシア神話の冥途の神・ハデスとその妻ペルセフォネに関係があります。

ミント(メンタ)
花言葉 効能・美徳
ハデスが横恋慕した妖精・メンタ
をペルセフォネが踏みつけて
しまったため、かわいそうに
思ったハデスが香りの植物に
姿を変化させたとされています。

ザクロ
花言葉 成熟した美しさ
ペルセフォネが4粒のザクロの
実を冥途の国でうっかり
食べてたしまい、ハデスと
結婚することになりました。
どうしてこれらの花にたとえたのか想像しながら歌うと、いろんな解釈ができておもしろいですよ!
歌い方のポイント
短調の部分はピアノのシンコペーションのリズムに乗って歌うといいでしょう。恋人への想いを切々と訴えている部分ですが、重くなりすぎないように。
今回配信している演奏は、タイミングをあわせやすいようにテンポ調節を最低限しか行っていませんが、本当はもっとアクセルとブレーキを使い分けるのが理想的です。
楽譜の指示よりもう一歩踏み込んだ表現を目指しましょう。
今回の演奏について
今回の演奏スタイルの変更点、お気づきになった方はいらっしゃいますか?
答えは、
「カメラ目線で歌わない」でした!
歌うときは、常に聴いてくださるお客様を意識して歌います。これまでの撮影では、視聴者を意識してなるべくカメラ目線で歌うようにしていました。
しかし、コンサートでお客様と常にアイコンタクトして歌うわけではないということに気づき、思い切ってiPadのカメラから視線を外して歌ってみることにしました。
結果は大成功です。前回よりのびのびとした表現になったと思います。
カメラに向かって歌うときのコツ
カメラから視線を外しているときは、コンサートホールのいちばん後ろに座っているお客様をイメージして歌っています。これは、普段の練習のときも同じです。
オンラインレッスンのときも、カメラの向こうにいらっしゃる先生を意識するのではなく、もっと広い空間をイメージすることをおすすめします。
音声はマイクが拾ってくれるので、自分が出す声を充実させるということが大切です。
自宅の部屋はあまり響かないから歌いづらい、という場合も多いかと思いますが、響かない部屋でいかに自分の声をよく響かせるか研究すれば、コンサートホールに行ったときとても楽に歌うことができます。
今の環境を最大限に生かして、歌の勉強を続けていってくださいね。