オンラインコンサートの楽屋裏話

コンサートの撮影方法や思いがけない活用法!?などをご紹介します

みなさん、コンサートはもうお楽しみいただけましたか?
10時前にYouTubeにログインしてスタンバイくださっていた方は、10時を過ぎてからもう一度ページを読み込まないと動画が表示されなかったようですので、まだご覧になれていない方はチャレンジしてみてくださいね!

さて、今回のコンサートは、特殊な機材などを遣わず、iPadのみで撮影しています。撮影後はimovieというアップル社純正のアプリで不要な部分をカットし、つなぎの部分があまり不自然にならないよう加工します。

それから曲名を入れてYouTubeにアップするという、ごくごく簡単なプロセスで配信しています。YouTubeに画像をアップすると、勝手に画像を変換してくれますし、配信コストがかからないので本当に便利です。

imovieでは音量も多少変えられるのですが、2倍の音量に設定したところ、音割れがかなりひどかったので、音に関しては修正なしで、録音したままの状態をお届けしております。

つまり、スマホやiPadを通して相手に聞こえている音は、私の動画のような感じになるとイメージしていただいて良いと思います。

オンラインレッスンを受ける際、自分の声がどのように聞こえているか、機械を通した声できちんとレッスンができるのか、とても不安ではないでしょうか?

私の生演奏を聴いたことがなくて判断が難しい場合もあるでしょうし、撮影した部屋はレッスン専用に配慮されていますので、全ての場合に当てはまるわけではありませんが、これからオンラインレッスンを検討されている方の参考になればと思います。

ちなみに、撮影の時はスマホ・iPad兼用の三脚を使っています。オンラインレッスンを受けるときにもあると便利です。

特にピアノの方は、手と鍵盤を撮影しなければならないので、角度を自由に変えられる三脚は必要かと思います。

YouTubeで私の画像を検索すると最初に表示される「サムネイル画像」はIllustratorというソフトで作成しているのですが、それはまた次の機会にご紹介します。

本日から仕事始めの方も多いと思いますが、どうぞお体を大切にお過ごしください。

コンサートプログラム

まもなく配信予定の後藤未穂ソプラノコンサートのプログラムをお知らせします

後藤未穂ソプラノコンサート
~おうちで楽しむ、とっておきの演奏会~
ピアニスト 林みゆき

<プログラム>

・Ave Maria/バッハ=グノー
・オペラ「リナルド」より
 私を泣かせてください/ヘンデル
・この道/山田耕筰
・ 浜辺の歌/成田為三
・ 献呈/シューマン
・ 「冬の旅」より 氷結/シューベルト
・ Ave Maria/シューベルト


アクセスが集中するとつながりにくくなるかもしれませんが、このコンサートは当面の間配信いたしますので、空いた時間にいつでも、何回でもお楽しみいただけます。

また、このコンサートは全曲通してお聴きいただくことを前提に選曲しておりますが、その日の気分でお気に入りの曲だけ聴くなど、楽しみ方は自由です。むしろそれこそがオンライン配信のメリットです。

みなさん、自分のとっておきの楽しみ方を探してくださいね。

Ave Maria/シューベルト

シューベルトのAve Mariaについて解説します

シューベルトのAve Mariaは1825年、シューベルトが亡くなる3年前に作曲されました。スコットランドの詩人で小説家のウォルター・スコットによる叙事詩「湖上の美人」に曲がつけられました。Ave Mariaは6曲目にあたります。

今回お送りする曲は、スコットが書いた英語の詩をドイツ語に翻訳した原曲そのままの歌詞でお送りします。歌い出しが“Ave Maria~”なので、ラテン語の祈祷文をあてはめられることも多いのですが、本来の歌詞ではありません。

歌詞の内容も、反逆者として国王に捕らわれている伯爵の娘・エレンが、父親のことを心配して聖母マリアに祈りをささげているという場面を描いています。

後ほとアップするプログラムをご覧になるとわかるのですが、今回はAve Mariaで始まり、Ave Mariaで終わっています。

今年こそは、マスクをつけないでお互いの顔をみて、笑い合う日が早く戻ってほしいという祈りを込めて、あえてこのような構成にしました。

音楽を聴けるような状況にない人もたくさんいらっしゃると思いますし、私個人ができることは本当にごくわずかですが、少しでもみなさまのお役に立てればと思い、コンサート配信を企画しました。

画面越しではなく、直接お会いできる日が早く来ることを祈って、私も勉強を続けてまいります。どうぞお体を大切にお過ごしください。

浜辺の歌/成田為三

「浜辺の歌」は、「この道」と同じく、2007年に『日本の歌100選』に選ばれており、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

歌人で作詞家の林古渓によって書かれた詩に、成田為三が曲をつけました。作曲された年ははっきりとはわかっていませんが、1918年に楽譜が出版されています。

1・2番は朝や夕方に浜辺をあてもなく歩いていると、昔の出来事や過去に出会った人のことが思い出される。海の様子や空に浮かんでいる月は今も変わらないけども…といった情景が描かれています。

3番の歌詞はそれまでとは違った展開を見せ、自分の病気は治ったけれども、愛しい我が子は今どうしているのだろう…と、何らかの事情で会えない自分の子どもへの思いを口にして曲は終わります。

1・2番しか演奏されないことも多いですが、この曲のメッセージは3番にこそ集約されている気がします。

歌詞が文語体で書かれているので多少とっつきにくく、言葉が少ないため読み取れる情報も少ないですが、親しみやすい曲調が大切な人を思い出させてくれる曲です。

この年末年始はコロナウイルスのために家族や大切な人になかなか会えないという人も多いと思いますが、そんな人に思いを馳せながらお聴きいただければと思います。

氷結/シューベルト

シューベルト作曲の歌曲集『冬の旅』より、“氷結”をご紹介します

この曲は、昨年開催した「後藤未穂×Kalmia ティータイムコンサート」でも演奏した曲ですので、記憶に残っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

歌曲集『冬の旅』は、シューベルトによって1827年に作曲されました。詩はドイツの詩人、ヴィルヘルム・ミュラーによって書かれており、全24曲からなる連作歌曲集です。

この歌曲集は、結婚まで考えていた恋人に失恋した若者が、二人の思い出が残っている町を捨て、さすらいの旅を続けていくという内容です。

旅を続けていくうちに、若者は失恋の痛みや苦しみを経て、社会からの疎外感、厭世観を感じるようになり、死を求めるようになっていきます。

“氷結”は『冬の旅』の4曲目にあたります。ドイツ語のタイトルではErstarrungとなっており、辞書で引くと凍結・凝固・硬直など、いくつかの単語が出てくるので、他の楽譜などでは違った表記になっているかもしれません。

実は歌詞の中にこのタイトルの言葉が出てくるわけではないので、Erstarrungというタイトルは何を象徴しているのか、演奏家はイメージしておく必要があると思います。

私はこの曲を聴いた時、フリーズドライされていたはずの恋人への未練が、ふとしたきっかけでせきを切ったようにあふれ出している、という印象を受けました。

自分の涙で氷や雪を溶かすほど地面に口づけしたい、せめて2人の思い出だけでも持っていきたい、など、若者の熱い思いが爆発しており、この歌曲集の中で最も激しい曲ではないかと思います。

この曲は歌詞の繰り返しが非常に多く、ピアノパートも3連符のリズムが途切れることなく続いています。恋人への未練をなかなか断ち切れない若者の苦悩をあらわしているようです。

同じ悲しみの表現でも、ヘンデルの“私を泣かせてください”が女性的な表現であるのに対し、“氷結”は非常に男性的な表現です。それぞれの違いもお楽しみいただければ幸いです。






24時間後、いよいよ配信開始です!

1月3日(日)午前10時より、YouTubeでコンサートを配信します!

YouTubeによるコンサート配信まで、あと1日となりました。初めての試みですので、うまくいくかどうか、年明けからドキドキが止まりません!

配信に先立ちまして、コンサートの内容をこのウェブサイトに順次アップしていきます。明日の9時半頃から残りの曲目解説を、9:50過ぎにコンサートのプログラムを掲載する予定です。

コンサートでは7曲演奏する予定ですが、現時点ではチラシでお知らせしている4曲分の解説しか掲載しておりません。

残りの3曲はどんなラインナップなのか、どのようなプログラムなのか…どうぞ楽しみにお待ちください。寒い冬に心あたたまる歌の宅配便が届くまで、あと少しです!


献呈/シューマン

シューマン作曲の「献呈」についてご紹介します

「献呈」はシューマン作曲の歌曲集『ミルテの花』の第1曲目にあたります。『ミルテの花』は、シューマンが愛する妻クララとの結婚が決まった1840年に作曲され、結婚式の前日の夜にクララにプレゼントされたと言われています。

ミルテはギンバイカと呼ばれる花で、白く可憐な花は結婚式の飾りにも使われることから、「祝いの木」とも呼ばれ、ヨーロッパでは一般的な花のようです。下の画像がミルテの花です。



1840年はシューマンにとって歌の年とも呼ばれ、ミルテの花をはじめとした歌曲集が、1年の間にたくさん作曲されています。

そのシューマンの歌曲の中でも、「献呈」は有名な曲の1つです。リストがピアノ曲にアレンジしているものも有名なので、ピアニストの方にとってもなじみ深い曲ではないでしょうか。

歌詞はフリードリヒ・リュッケルトによって書かれており、愛情が爆発しているかのように恋人への想いがつづられています。

あなたは私の魂、から始まり、あなたはより良い私、という言葉で締めくくられており、自分と一体化していると錯覚するほど、恋人に首ったけなんだろうな…とイメージしながら歌っています。

シューマンからクララへのあふれる愛情を、みなさまに疑似体験していただけるよう心を込めて歌います。

この道/山田耕筰

山田耕筰作曲の「この道」の、歌詞の情景について解説しています。

このところ音楽以外の記事ばかりを投稿していましたので、大晦日の本日はオンラインコンサートで歌う曲の解説で締めたいと思います。

北原白秋作詞、山田耕筰作曲の「この道」は、2006年に文化庁と日本PTA全国協議会が親子で長く歌い継いでほしい「日本の歌百選」にも選ばれているほど、広く親しまれている曲です。

では、曲のタイトルにもなっている「この道」は、どのような道なのかご存知ですか?この曲の歌詞には、北原白秋が晩年に旅行した北海道と、白秋の母の実家である熊本県南関町から柳川の風景をあらわしたものとされています。

1番の歌詞にでてくるあかしやとは、「ニセアカシア」のことで、北海道札幌市に街路樹としてよく植えられています。右の画像がニセアカシアの花です。

2番の白い時計台は、1番と同じく北海道札幌市にある時計台です。現在は周辺の道も広くなっており、歌詞がつくられた頃の面影はありませんが、この時計台から言葉がひらめいたということは間違いないようです。

3番で母親と馬車に乗ったという内容になるので、この部分は白秋の出身地である熊本県のことを想って書かれたのだということがわかります。



4番のさんざしは、寒いところでも育つ植物だそうなので、北海道の風景を描いていると思われます。右の画像がさんざしの花です。

この曲は1927年に作曲され、同じ年に出版された「童謡百曲集」にも収録されていたそうですが、童謡と呼ぶには音の跳躍が激しく、変拍子が入っていたりするので、難易度が高いです。

しかし、美しいながらもどこか懐かしい雰囲気をもつメロディーは、多くの人の心を和ませてきました。この曲を聴いてふと家族を思い出した、声が聴きたくなった、そんな想いを引き出す演奏ができればと思います。

2020年もあと少しで終わります。
みなさま、どうぞ良いお年をお迎えください。



私を泣かせてください/ヘンデル

オペラ「リナルド」より“私を泣かせてください(lascia ch’io pianga)”/ヘンデル

オペラ「リナルド」は1711年に作曲・初演され、ヘンデルにとってはロンドンでのデビュー曲となりました。十字軍とイスラム教との争いのもととなったエルサレムが舞台となっています。

イスラム側の魔法使い・アルミーダにとらわれてしまったヒロイン・アルミレーナは、イスラム軍の王・アルガンテに求愛されてしまいます。しかし、婚約者であるリナルドへの愛をつらぬくアルミレーナが、その求愛を断る場面で歌われるアリアです。

ドラマの挿入歌などにも使われたことがあるので、タイトルを知らなくても曲をお聴きになった方は多いのではないでしょうか。

イタリア歌曲集にも掲載されていることが多いので、声楽を勉強している方にはなじみ深い曲ともいえます。

ヘンデルのアリアといえば、オペラ「セルセ」のアリア「オンブラ・マイ・フ」もとても有名です。彼はその他にも数多くのオペラを作曲しているので、時間ができたら他の曲も勉強していきたいと思います。

Ave Mariaについて

Ave Maria(アヴェ・マリア)はきっと一度は聞いたことがある言葉だと思いますが、どういう意味かご存知でしょうか?

Aveは、「おめでとう」という意味で、Mariaは、聖母マリアのことです。
直訳すると「おめでとう、マリア」ということになります。

Ave Mariaは、前半が聖母マリアに受胎告知をする内容となっています。マリアのお腹の中に、神の御子であるイエス・キリストがいらっしゃる。あなたは神様より祝福された女性なのだと、大天使ガブリエルがマリアに告げるのです。

後半は、「今も、死ぬ間際のときも、わたしたちのためにお祈りください」という意味で、後に修道士によって加えられた言葉ともいわれています。

このところ、良いニュースを目にする機会がなかなかありませんが、すべての人の心に幸せの灯がともることを祈って、この曲を歌いたいと思います。