Die Lotosblume/R.Schumann
シューマン作曲の歌曲集“ミルテの花”より、「蓮の花」についての解説です。詩は有名な作家、ハインリヒ・ハイネによって書かれています。
シューマンについて

ロベルト・シューマン(Robert Schumann, 1810年~1856年)はロマン派を代表する作曲家です。幅広いジャンルの作品を残していますが、その中でもピアノ曲と歌曲が特に有名です。
学生時代からピアノの練習に熱心で、後に義理の父親となる有名なピアノ教師、フリードリヒ・ヴィークにも師事していました。
指の故障によってピアニストの道は断念せざるを得なくなり、作曲に専念するようになります。
若い頃はあまり声楽に興味が無く、作品もピアノ曲をはじめとする器楽曲が中心でした。しかし、クララとの結婚が決まった1840年からは一転して歌曲をたくさん作曲するようになります。
1840年は“歌曲の年”とも呼ばれており、ミルテの花・リーダークライス・詩人の恋・女の愛と生涯など、今でもよく演奏されている連作歌曲のほとんどはこの年に作曲されました。
同時期に活躍した作曲家・メンデルスゾーンと親交が深く、シューベルトの未完成交響曲の初演の立役者でもありました。
また、フランス出身のショパンやベルリオーズの作品をドイツの音楽雑誌で紹介したりと音楽評論家としても精力的に活動しています。
作曲家としてだけでなく、当時の音楽会に多大なる功績を残した人物のひとりです。
ハイネについて
クリスティアン・ヨハン・ハインリヒ・ハイネ(Christian Johann Heinrich Heine, 1797~1856)はドイツ出身の詩人・作家です。
若い頃からジャーナリストとして活動していましたが、自分の人生経験をもとに書かれた叙事詩、特に恋愛叙事詩は非常に人気がありました。
シューマンとも親交があり、「詩人の恋」や「リーダークライス」に彼の詩が使われています。
政治批判を行ったことでドイツ当局に目をつけられてしまい、1830年にパリへ亡命、1856年に亡くなり、フランスのモンマルトルに埋葬されています。
曲目解説

「蓮の花」は、歌曲集“ミルテの花”の7曲目にあたります。ミルテの花は妻クララに結婚式前日にプレゼントされた作品です。
蓮の花という名前が一般的ですが、夜に花が開くと書かれていることから睡蓮の花である可能性が高いです。
ドイツ語では蓮も睡蓮も同じ単語になります。
長調の明るい雰囲気で曲が始まりますが、睡蓮の花の恋人である月が登場する第2節から艶っぽい雰囲気に転調します。
月の光を浴びて花が開いていく様子が絶妙な和音のグラデーションによって表現されており、シューマンの魅力が凝縮された曲といえるでしょう。
演奏のポイント
転調や和音の変化を聞き逃さないよう、ピアノパートをよく聴きながら歌いましょう。
ワンフレーズがわりと短いので、フレーズの最後の子音を美しく発音することが曲の雰囲気を壊さないポイントです。
長い音符は母音の発音を少しゆるめるとやわらかく聴こえます。
5年越しの恋が実ったシューマンの熱い想いを再現できるよう、心を込めて演奏してください。