La serenata/F.P.Tosti
先日YouTubeにて配信した、トスティ作曲・セレナータの曲目解説です。
あくまで個人的な主観になりますが、歌うときのポイントや演奏の反省点などについても書いています。

セレナータとは
セレナータとは、もともと男性が女性の家の前で、恋心を伝えるために演奏する曲のことでした。ドイツ語の「セレナーデ」の方が、耳にすることが多いかもしれませんね。
リュートなどを片手にセレナータを歌い、窓から彼女が顔を出すのを待つ、というのはオペラなどでもよく描かれるシチュエーションです。
その後、夜間に屋外で演奏される曲全体のことをセレナータと呼ばれるようになります。大人数のオーケストラなどの野外演奏は難しいので、少人数編成が基本のスタイルです。
トスティのセレナータについて
トスティのセレナータの印象はどんな感じだったでしょうか?
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カラッと晴れたイタリアの青い空を思わせる、爽やかな印象を受けた方が多いのではないでしょうか。
私はこの曲を高校生のときに歌ったのですが、あまりに明るいイメージの曲なので、夜に演奏する曲だといわれてもピンときませんでした。
今回セレナータについて詳しく調べたところ、「夜に演奏される曲であって、夜をイメージして作曲されたものではない」ということがわかり、やっと問題が解決しました。
歌詞は詩人で文学研究者のG. A. チェザレーオによって書かれていますが、もともとの詩はもう少し過激な表現が含まれていたようです。
トスティは声楽の先生でもあったので、生徒にレッスンする際にもう少しソフトな内容に変更して作曲したとのこと。
歌い出しの“Vola,o serenata”という歌詞は、「セレナータよ、飛んでいけ」という意味です。語順が変わったりしますが、この歌詞は何回も出てきます。歌詞全体は片思いしている男性がひたすら想いを伝えている、という内容です。
軽快な曲調で重い雰囲気を感じさせないのが、イタリアという国に対するイメージにぴったりだなと思います。
彼女は果たして窓から顔を出してくれたのかな、と想像の余地を残して終わるところもいいですよね。
パヴァロッティやホセ・カレーラスなど、名だたる演奏家がこの曲を歌っていますので、興味がある方はYouTubeで検索してみてください。
歌い方のポイント
基本的にはピアノの軽やかな装飾音にのって歌うようにしましょう。
ただし、自分が想いを寄せる人に対する気遣いを忘れてはいけません!
転調する部分などがわかりやすいですが、まどろんでいる女性が気持ちよく目覚めてくれるよう、やわらかく歌う部分も必要です。
歌の場合、p(ピアノ)の表現は難しいですが、意識するだけでも曲の中でメリハリをつけることができます。
歌詞がたくさん詰まっているところがありますが、言葉のアクセントや発音を忠実に守って歌えば単調になりません。
演奏の反省点
今回の演奏の反省点は、
- 「ア」の母音が暗い
- 響きがときどき鼻に抜けてしまう
学生時代に、母音の響きが明るくなればもっとよくなるとアドバイスされたことを思い出しました。
響きが鼻に抜けてしまうということは、フランス語の鼻母音などにはいいのかもしれませんが、イタリア語にはあまりふさわしくありません。
来週配信予定のアヴェ・マリアで、多少なりとも改善できるよう試行錯誤しているところです。
次回もどうぞお楽しみに!